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日本を拠点に活躍する韓国出身の美術家の李禹煥(リ・ウーファン)。もの派として活動するアーティストです。もの派とは、1960年代末から70年代にかけて、日本で起こった現代美術の動向のこと。石や木、鉄板、ガラスなどを組み合わせてできた作品を手掛けることを指します。その中でも李禹煥は、「もの」と「もの」との新しい関係性を示す作品を発表しました。
大韓民国の慶尚南道で生まれた李禹煥は、ソウル大学校美術大学を中退後、1956年に来日。日本大学文理学部哲学科を卒業しました。その後1960年代後半から、李禹煥を中心とする「もの派」が形成されていきます。評論にも優れていた李禹煥は、「もの派」を理論的に主導していたそうです。1970年代初頭から、版画や絵画にも取り組み「線より」や「点より」のシリーズを発表しています。2010年には、香川県の直島に、個人美術館1館目となる李禹煥美術館が開館しました。
1970年代から制作された「点より」は、「線より」と並んで、李禹煥の平面作品を代表するシリーズです。同じような点が、濃淡のグラデーションをもって繰り返し描かれています。2メートル以上の大きな作品も複数あり、目前に広がる点の集まりや繋がりに圧倒されそうです。
理路整然と整理ができて、ちゃんと先が分かっているようなものは、アートにはならない。無意識、狂気、混沌、矛盾――。人間は面白いことに、そういったものが作用しながら出来上がっているものを面白がる。
2017年1月に直島で行なわれたアーティストトークの中で、李禹煥が語った言葉です。未知なるものと向き合うことで思いがけず生み出された作品が、観る人の心を動かし、時代を越えて価値あるものになるのかもしれないですね。そんなアートの可能性を感じさせる言葉です。
2010年にアートの島として知られる直島に開館した、李禹煥の個人美術館です。建築家の安藤忠雄によって設計された建物の中に、李禹煥の彫刻や絵画が展示されています。海や山に囲まれた美術館は、自然と融合した空間や屋外作品も見どころです。李禹煥の作品が気になる方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
僕の仕事部屋には、川俣さんのマケットもあれば、壁には李禹煥さんのドゥローイングもあるし、気に入った雑誌の表紙を額装したものも、うちの奥さんが描いた「いたずら書き」(本人談)もある。いいなと思ったクッキーの箱も置いてあって…まぁ、そんな感じ。
— Portside_RADIO (@minano_sideB) February 16, 2021
軽井沢のニューアートミュージアムに行ったら李禹煥の作品が売ってて、アートって買えるんだ……と呆然としてしまった。立ち入り禁止線の向こう側の存在だと思ってたから、手に入るの?!という感じ。高いんだけどさ、あの李禹煥だよ?プライスレスじゃん!アートコレクターの気持ちわかっちゃったよ。
— otm | ミヨタ🌳 (@morino_nakamade) February 15, 2021
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
李禹煥の立体作品「関係項」シリーズのなかの1つ。「関係項-対話」は、2つの自然石と、それらを隔てる鉄板による作品です。2つの素朴な石が、初めて出会った鉄板に興味津々で話しかけている、間に置かれた鉄板にちょっと困っている、といった相反する二つの様子に捉えられる不思議な可愛らしさがあります。