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アラン・カプロー(1927~2006年)は、「ハプニングの父」として知られるアーティストです。ハプニングとは、偶然性を尊重したパフォーマンスや展示を行う芸術形式のこと。名称は、1959年に誕生したカプローの「6つのパートからなる18のハプニング」に由来しています。カプローが生み出したハプニングは、1950年代後半から60年代を中心に、多くのアーティストが作品に取り入れてきました。
アラン・カプローの生まれは、アメリカ合衆国のニュージャージー州。コロンビア大学で美術を学んだ後、「実験音楽」で知られるジョン・ケージのもとで作曲を学びました。ジョン・ケージの偶然性の音楽や即興の概念は、カプローに大きな影響を与えています。
カプローの作品は、アメリカをはじめとする世界各地で展示・上演され続けています。カプローは生活とアートの境界線を曖昧にすることを目指し、200以上ものハプニング作品を創作しました。クレス・オルデンバーグやジム・ダインなどのアーティストと共に、ハプニングを仕掛けたこともあったそうです。実践を続けるうちに進化していくハプニングは、現在の観客参加型のアートやインタラクティブな環境芸術に影響を与えています。
参加者と共に氷のブロックを積み上げ、巨大な氷のオブジェを作るというイベント。時間が経てば、氷は溶けてしまうので、短い間しか見られない作品です。カプローは、溶けてなくなってしまう作品を展示することで、できるだけ変わらない方が良いとされる美術品の価値に一石を投じました。
2020年に開催された「さいたま国際芸術祭2020」では、Fluidsのパフォーマンスがおこなわれる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。また日本で企画されることがあれば、完成した作品を観るだけでなく、制作にも参加してみたいですね。
空間内に大量のタイヤを敷き詰めた作品です。観客はこのタイヤの上を自由に歩きまわれました。ハプニングに参加した観客も、作品の一部として表現したそうです。カプローが観客の参加や共同作業を重視していたことが窺えますね。
幸福の根本は、何をするか、何を愛するか、何を望むか、の3つである。
日常とアートの境界線を曖昧にすることを目指し、精力的に活動を続けたアラン・カプロー。この考えを、カプローは作品にも表現しています。自分が何を愛し、何を望んでいるかを明確にすることで、やるべきことも自然に見えてくるのでしょうね。
「本をめぐるアート」をテーマとしたコレクションを有するうらわ美術館。そこで2018年、アート・ブックの展覧会が開催されました。この展示会が初公開となる作品を中心に、コレクション約500点を紹介。その中には、アラン・カプローが1975年に制作したアート・ブック「エアー・コンディション」も展示されていたそうです。1960年代から80年代にかけてアート・ブックに取り組んだアーティストたちの活動に着目した、ユニークな展覧会となりました。
会場に書いてあった、アラン•カプローの 「人をアーティストだと決定づけるものが、特別なスキルの才能ではなく今ひとつアートとも人生とも言い切れない捉えどころのないオルタナティブを目の前にした時にその人がとる ある哲学的な姿勢となる」っていう言葉には共感した
— 田中永峰良佑 Ryosuke N. Tanaka (@LalalalaRuth) January 4, 2015
アラン・カプローのパフォーマンスアート、【AとB、お互いのことを考える思いがいちばん強くなった時点で電話をかけ電話口で「いま」とだけ言う】というやつで【AとB、お互いのことを考える思いがいちばん強くなった時点でリプライしtwitterで「なう」とだけ言う】みたいなのやってほしい
— はりー (@hurry1116) November 9, 2014
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
「ハプニング」という用語が、初めて使われた展覧会。1959年、ニューヨークのルーベン画廊で開催されました。楽器の演奏やライブペインティングなど、6つの部屋に分かれて、各部屋で3種類のパフォーマンスが展開。観客も「色々な椅子に座る」という役割で、作品の一部として参加していたそうです。
英語のhappeningは「出来事」という意味で、日本で使われている「ハプニング」とはニュアンスが違います。カプローがハプニングという芸術形式を生み出した後、日本でも前衛芸術家たちによるスキャンダラスなパフォーマンスが話題になりました。そのイメージから、日本では「ハプニング=思いがけない出来事」という意味で、日常的に使われるようになったのだとか。誰かに言いたくなる雑学ですね。