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東京・国立新美術館での個展で来日したときのアンドレアス・グルスキー氏。イケメンですね。
アンドレアス・グルスキー(1955年~現在)は、ドイツを代表する現代写真家です。2011年、ニューヨーク・クリスティーズのオークションで、写真の中で世界最高額となる430万ドル(約3億3,400万円!)で、作品が落札されたこともあります。
旧東ドイツのライプツィヒで生まれ、幼少期に西ドイツへ移住。父も祖父も写真家という家庭に生まれ、洗練されたインテリアに囲まれた環境で育ち、写真家としての素地が形成されていきました。
フォルクヴァング芸術大学では、ヴィジュアルコミュニケーションを専攻。大学卒業後は、デュッセンドルフ芸術アカデミーの写真科に在籍し、写真界の巨匠であるベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に師事しました。ベッヒャー夫妻から学んだことは、グルスキーの作品に大きな影響を与えています。
1980年代後半から、写真家として活動を開始。アンドレアス・グルスキーの作品は、全体と部分、抽象と具象、虚構とリアルなど、相反する要素を持ち合わせているのが特徴です。作品から離れて全体を観ると抽象絵画のようにも見えますが、近づいて観てみると細部の違いを発見できるでしょう。グルスキーの高解像度かつ大きな作品は、被写体を分割して撮影し、デジタル技術を駆使して、その画像をつなぎ合わせることで作り出されています。
世界を魅了するグルスキーの作品は、ニューヨーク近代美術館やテート(ロンドン)、ポンピドゥ・センター(パリ)など、世界の主要美術館に所蔵されています。日本では、国立新美術館(2013年)と国立国際美術館(2014年)で、アンドレアス・グルスキーの日本初となる個展が開催されました。
アメリカの99セントショップで撮影されたこの作品。色鮮やかな商品が、店内にぎっしりと並べられている光景は迫力がありますね!さらに、近くで観ると、画面の隅々までピントが合っていて、個々の商品パッケージまで確認できる緻密さに驚かされます。
その圧倒的な情報量にもかかわらず、全体を1つの画面として観てみると、みな同じような商品で、没個性的にも見えてくるから不思議です。現代の大量消費社会に対する、グルスキーの皮肉なのかもしれません。
この不思議な作品の撮影場所は、なんと、日本の岐阜県!東京大学宇宙線研究所が運営する「スーパーカミオカンデ」を撮影して作られた作品です。カミオカンデというのは、ニュートリノという素粒子を観測する装置の名称なのだとか。
この作品、離れて観ると、その大きさや左右対称の美しさに圧倒されますが、近くで観ると、右下に2人の人物を発見できます。細部で左右対称を崩すのも、グルスキーらしい表現です。
下に張られた水や、水面に映るカミオカンデ、右下の人物などは、デジタル処理によって後で加えられたもの。それによって、リアルと虚構が同居する、グルスキーならではの世界観になっています。
2013年・2014年に国立新美術館(東京)と国立国際美術館(大阪)で開催された、アンドレアス・グルスキーによる日本初の展覧会。初期の作品から、代表作や最新作まで、グルスキー本人によって厳選された作品60点以上が展示されました。この展覧会では、キュレーションも自身で担当しており、会場全体がグルスキーのインスタレーション作品のようでもありました。
SNSでは、「これ、アンドレアス・グルスキーっぽい!」と、グルスキー風(?)の写真をシェアする人もちらほら。
伊勢丹地下のレトルトカレー🍛コーナーの品揃えが鬼。アンドレアス・グルスキー感。もはや本棚。 pic.twitter.com/XlK1VYhchX
— DJ SHIGe (@SHIGeDJ) June 8, 2020
ハワイのスーパーマーケット。
— 中屋辰平 / Shinpei Nakaya (@shinpui) December 6, 2019
広ーい空間に、背の高さ以上もある陳列棚が何十列も並んでいて、商品の規則性も相まって、アンドレアス・グルスキーの世界に入り込んでるような気持ちになった。
スーパー大好き pic.twitter.com/eIqvyGKj7y
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
2011年に、写真では世界最高額となる430万ドルの値が付けられた作品。当時の日本円で、約3億3,400万円!すごい金額ですね。アンドレアス・グルスキーは、写真家というよりもアーティストとして、作品のアート性を評価されているのでしょう。
この《ライン川II》は、ヨーロッパを流れるライン川をテーマに制作した、6連作のうちの1枚です。不要な情報をデジタル加工によって取り除くことで、マーク・ロスコを思わせる抽象絵画のような仕上がりになっています。