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Eve of Destruction

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作品解説

《Eve of Destructio》は、奈良美智が2000年代に描いた作品のひとつです。草原のような場所に、赤いワンピースを着た少女がぽつんと立っています。手に抱えているのは、アメリカのロックバンド「The Turtles」のレコード。背景には白く霞んだ空が広がり、その奥にはうっすらと煙が立ちのぼっています。

はじめは少女の大きな目と少し幼さの残る顔立ちに「かわいらしさ」を感じるかもしれません。けれど、じっと見つめるうちに、焼け野原のような背景と、何かを訴えるような少女の立ち姿が、戦争や破壊の気配を想起させます。

タイトルの《Eve of Destruction》は、1960年代の反戦歌に由来しています。

この時代、アメリカではベトナム戦争が激化し、ロックやフォークの音楽が社会へのメッセージを担っていました。奈良美智は音楽、とくにロックへの造詣が深く、制作時にも音楽を流すことで知られています。

こうした音楽とともに生み出された《Eve of Destruction》は、無垢な子どもの姿に社会的な不穏さを重ねる奈良美智ならではの作品といえるでしょう。

作品詳細

作家紹介:奈良美智について

1959年、青森県弘前市生まれ。国内外で高く評価される現代美術作家。にらみつけるような目をした少女のドローイングや、アクリル絵具による絵画で広く知られています。作品には、不安や孤独、反抗心など、複雑な感情が静かに表現されています。

1990年代以降はドイツでの活動を経て、世界各地の美術館やギャラリーで展覧会を開催。日本だけでなく、ロサンゼルス、香港、ドイツなどでも熱烈に支持されています。

絵画だけでなく、立体、ドローイング、インスタレーション、さらにはレコードジャケットのデザインまで、表現の幅は多彩。音楽や文学からの影響も作品に色濃く表れています。

Eve of Destructionを見られる美術館

《Eve of Destruction》は、原美術館ARC(群馬県渋川市)が所蔵しています。原美術館ARCは、現代美術に特化した美術館として知られ、1950年代以降の国内外の作品を中心に、約1,000点に及ぶコレクションを保有しています。

また同館には、奈良美智自身のアトリエを模した空間《My Drawing Room》が常設展示されており、作家の創作環境や趣味の痕跡に触れられる貴重な空間となっています。《Eve of Destruction》とあわせて、奈良美智の作品世界に深く触れられる場所といえるでしょう。

展示作品はテーマごとに入れ替えながら公開されているため、訪問前には公式サイトなどで展示状況の確認がおすすめです。

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