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マーク・ロスコ

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マーク・ロスコ
引用元:Sotheby's https://www.sothebys.com/en/articles/21-facts-about-mark-rothko

マーク・ロスコはどんな人?

Mark Rothko, 本名 Markus Rotkovich(ロシア語: Ма́ркус Я́ковлевич Ротко́вич)

「抽象表現主義」のなかでも指導者的な存在として知られる、ロシア出身の画家(1903年~1970年)。ウィレム・デ・クーニングやジャクソン・ポロックとともに、戦後アメリカの美術家のなかで最も有名な1人とされています。

生まれたのはロシアのドゥヴィンスク。10歳の頃にアメリカのポートランドへ移住し、1938年にはアメリカ国籍を取得しています。

初めは具象画を手掛けていましたが、複数の色面が広がる抽象画を描くようになり、その後、縦長キャンバスに柔らかな形が複数浮かび上がる「ロスコ・スタイル」を確立させます。

1958年には、ニューヨークのシーグラムビル内にあったレストラン「フォーシーズンズ」の壁画を依頼され、約1年半かけて30点もの作品を制作。しかしロスコは、完成した店内を見てその雰囲気に幻滅。契約を一方的に破棄してしまいます。そのためロスコの作品がレストランに飾られることはありませんでした。こうして一度は行き場を失った作品群ですが、1970年、ロンドンのテイト・ギャラリー(現テイト・モダン)に9点が寄贈され、1990年にはDIC川村記念美術館に7点が収蔵されています。

その後、1964年~1967年にかけては、ヒューストンにある礼拝堂の壁画を制作。しかし、うつ病にかかるなど心身の健康を崩し、チャペルの完成を待たずして、自殺というかたちで生涯を終えます。大量の抗うつ剤を服用し、剃刀の刃で自らを腕を滅多切りするという、壮絶な死でした。

そんなロスコの作風は、抽象表現主義のなかでも「カラー・フィールド」と呼ばれます。油絵の具を水彩のように薄く溶いて幾層にも塗り重ねることで創出される、奥深くて透明感も漂う画面が特徴的です。ずっと見ていると、初めに見えていた色と違う色が浮かび上がってくるような不思議な魅力に、多くの人が惹き込まれます。

マーク・ロスコの代表作

一堂に飾られるはずだった
幻の「シーグラム壁画シリーズ」

マーク・ロスコ 『「壁画 No.4」のためのスケッチ』

引用元:DIC川村記念美術館 https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/#collection06

「壁画 No.4」のためのスケッチ
所蔵
DIC川村記念美術館(千葉)
発表年
1958年

「シーグラム壁画シリーズ」は、マンハッタンに新しくできるシーグラム・ビル内の高級レストラン「フォー・シーズンズ」から依頼を受け、制作したものです。

なんとその数は30にも上ります。ロスコは自分の作品とそうではないものが並ぶことを嫌い、自分の作品だけでひとつの空間を作り上げたいと思っていました。だからこその30という数だったのでしょうか。

1年半もの期間を費やし完成した作品群でしたが、ロスコが一方的に契約を破棄し、レストランに作品が飾られることはありませんでした。

店を訪れたロスコがその雰囲気に幻滅したからとも言われていますが、ロスコ本人は理由を口にしていません。

2800万ドルの値が付いた作品

マーク・ロスコ「Untitled」

引用元:GIGAZINE https://gigazine.net/news/20130206-10-paintings-sold-for-millions/

無題
Untitled
市場価格
2800万ドル(約26億3000万円)
発表年
1961年

ロスコ作品はその落札額でもたびたびニュースをにぎわせています。上の画像は

美術手帖によると「無題、1960」(1960年/下記画像)が2009年5月のサザビーズに出品されました。出品者はサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)で、売った資金で新たな作品購入を行なうためとのこと。

落札予想額は3500万〜5000万ドル(約39億〜55億円)と言われており、結果は5009万ドル(約55億円)とほぼ予想落札価格通り。

スケールが違いますね。

他の作品のニュースもあります。ニューヨークタイムズによると、2007年には「ホワイト・センター(イエロー、ピンク、アンド・ラベンダー・オン・ローズ)」(1950年/下記画像)が7284万ドル(約87億7400万円)で落札されています。出品者はロックフェラー財閥のデービッド・ロックフェラー。

マーク・ロスコ「無題、1960」
引用元:美術手帖 https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/19354

2019年にサンフランシスコ近代美術館がサザビーズに出品し、5009万ドル(約55億円)で落札された「無題、1960」。

マーク・ロスコ「ホワイト・センター(イエロー、ピンク、アンド・ラベンダー・オン・ローズ)」
引用元:亀カメ日記 https://wwmmm.exblog.jp/5686270/

「ホワイト・センター(イエロー、ピンク、アンド・ラベンダー・オン・ローズ)」。この作品が7284万ドル(約87億7400万円)!

マーク・ロスコと関連するアート・ムーブメント

抽象表現主義

1940年代の後半のアメリカで起こった芸術表現を変える動きのことです。アメリカではじめて世界に影響を及ぼした美術運動で、芸術の中心部がパリからニューヨークへ移行するきっかけになりました。

ニューヨークに芸術の中心が移ったことでアメリカにおいてもモダニズムが花開き、ニューヨークが発信する芸術文化は先鋭的なものとして認められるようになっていきます。その後、1960年代に入る頃には抽象表現主義は単調な繰り返しと評価され、影響力が低下。ポップアートなどが主流となる時代へと変わっていきました。

この抽象表現主義の特徴と言えば、「巨大なキャンバス」「画面に中心はなく、均一的な平面」「創作過程を重視」。このアート・ムーブメントで有名な画家は、ロスコ以外ではジャクソン・ポロックなどの作家が有名です。

マーク・ロスコが影響を受けた人物

クリフォード・スティル

「1949-A-NO. 1」という作品が代表作のアーティストです。この作品はニューヨークの有名なオークションハウス「サザビーズ」が開催したオークションにて、なんと6170万円、当時の日本のレートでおよそ47億9000万円という高値で落札されました。その破格の金額だけでも、彼の素晴らしさが理解できるでしょう。またZOZOTOWNの前澤前社長が高額で絵画を落札したことがテレビで取り上げられ、日本でも知名度が高くなってきています。

マーク・ロスコはかつてシュール・リアリズムというジャンルの絵を描いていましたが、カリフォルニア・バークレーで彼と出会い、後に大きくスタイルを変えていくことになります。

クリフォード・スティルは1904年にアメリカで生まれ、第二次世界大戦直後の絵画の世界に独創的なアプローチを生み出した抽象表現主義の代表的な指導者です。大学で美術教師として勤務し学生の制作をサポートするなど、学生からも尊敬されていたとのこと。当初こそそのスタイルは理解されませんでしたが、徐々に抽象表現主義が理解されるようになると同時にクリスフォード・スティルの名が知れ渡っていきます。

また1950年代に商業ギャラリーと関係性を経っているため、クリフォード・スティルの作品は死後25年間も世に出されず、コレクターが望んでも手に入らない現状でした。彼の遺言で永久コレクションとしての位置づけで、2004年にコロラド州デンバー市が作品を受け取ると表明しています。

日本に住んでいるなら行きたい
「ロスコ・ルーム」(千葉)

DIC川村記念美術館「ロスコ・ルーム」
引用元:DIC川村記念美術館 https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/#collection06

所蔵美術館に、日本が挙げられていることに気がついたでしょうか。そう、ロスコの作品は日本で楽しむことができ、しかもそれが7作品一挙に1部屋で飾られているのです。それは、DIC川村記念美術館(千葉県)にあるロスコ・ルーム。

「シーグラム壁画」シリーズのうち、7点のロスコ作品が7角系の部屋に飾られています。ロスコの作品だけで構成された部屋は、2020年現在、世界でも4室しかないので、ぜひ行ってみたい場所。ロスコのために7角形の部屋にしたことを、果たしてロスコは喜んでくれているのでしょうか。それとも当然と思っているのか…。そんなことを考えながら鑑賞するのも、また一興。

DIC川村記念美術館は、湖の近くにあり、中には茶室もあるので、お休みを1日使って行く価値あり!

DICと聞いて、ピンときた人は印刷に関する仕事でしょうか。そう、ここは大日本インキとその関連会社が収集した美術品を展示するために設立されたものです。

美術館の公式サイトはこちら。レンブラントの作品なども所蔵されています。

周囲の風景や茶室の写真もあるレポート。とても雰囲気がいい場所にある美術館なことがわかります。

千葉、そしてイギリス、アメリカ(2か所)のロスコ・ルームの画像が掲載されているブログ。

マーク・ロスコの名言

アートとは、未知の世界への冒険であり、リスクを恐れない者だけが探求することができる

悲劇、忘我、運命といった人間の基本的な感情を表現することだけに関心がある

引用元:ロスコ 芸術家のリアリティ(マーク・ロスコ/著、クリストファー・ロスコ/編集、中林 和雄/訳(発行日:2009年2月18日/出版:みすず書房)

マーク・ロスコについて
現代人の声を拾ってみた

監修者

【監修者】
染谷尚人
sponsored by 本郷美術骨董館

なぜこの作品が80億以上にもなるのかという声も多く聞かれます。その人気の理由の一つに、「見る人に何かを訴えかける」「見る人の内面をうつす」作品であることが挙げられると思います。

現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。

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