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1960年代後半~1970年代にかけて現れた、前衛美術のムーブメントをいいます。名前のとおり、技術的なことよりも"裏にあるコンセプト(含意・思想・観念等)"を重要視するアートです。
18世紀中盤にカメラが登場したことで「目に見えるものを精妙に描くことはもう求められないのでは」と考えたアーティストたちが、試行錯誤して行き着いた境地といえるでしょう。
従来のように美しいもの・視覚的に優れたものではなく"知的な刺激を与えるもの"を楽しむのも特徴です。絵画や彫刻だけでなく、活動や行為自体を作品とするものも多くあります。
最初にこのような作品を発表したのはマルセル・デュシャン(1910年代)と言われており、便器に署名をしただけのレディ・メイド(既製品)作品、『泉』が有名です。
しかし、この当時はまだ、コンセプチュアルアートが美術史上の1ジャンルとして認められていませんでした。ジャンルとして確立されたのは既述のとおり、1960年代です。
代表的な美術家としては、ジョゼフ・コスース(『1つと3つの椅子』等)、アンディ・ウォーホル(『エンパイア』等)、ヨーゼフ・ボイス(『死んだウサギに絵を説明するには』等)などが挙げられます。
作品の背景にあるコンセプトを読み解いて楽しむ、という鑑賞法が日本人にはまだ馴染みにくいこともあり、距離を置かれることも多いコンセプチュアルアート。視覚化できないものを題材とするため技術面のすごさが分かりにくい、という特徴もあります。
しかし、億単位の落札額を記録したり、有名ブランドとコラボしたりと、世界的に高い評価と人気を得る近年のアーティストは、多くがコンセプチュアルアートの担い手です。つまり、多額のビジネスマネーを生み出すアート、ともいえるでしょう。
引用元:zeitgeist http://zeitgeist.jp/zeitgeist/デュシャン-大ガラス-東京大学/
私が興味の的になったのは表題のおかげです。中身の意味はありません。「処女」「花嫁」「裸体」などのタイトルを使っていれば興味をひくだけです。特に裸体に向かい合っていれば、スキャンダラスなものに見えたのです。裸体は尊重されなければいけませんからね!
引用元:大黒貴之 彫刻のないアトリエ https://k-daikoku.net/conceptual-art/
コスース20歳のときの作品。「本物の椅子」「写真の椅子」「椅子の定義が書かれた文」という、いかにも概念を楽しむものですね。
ジョゼフ・コスースの作品は、実はクイーンズスクエア横浜で見ることができます。
地下5階のみなとみらい駅に続く大アトリウムのエスカレーター脇にある、巨大モニュメントはコスース作。
引用元:アートペディア https://www.artpedia.asia/2017/02/09/チーフ
毛布に自身がくるまり、毛布の両端には、2頭の死んだ山羊が置かれています。ヨーゼフは観客が見ている8時間もの間、マイクロフォンでなにかを呟いていたということです。
その他にも、死んだうさぎを抱える「死んだうさぎに絵を説明する方法」など、さまざまな「脳で考える」作品を世に出しています。
ヨーゼフ・ボイスはこちらのページでも紹介しています。(「死んだうさぎに絵を説明する方法」の動画もご紹介しています)
アハ体験でおなじみの茂木健一郎のつぶやきも。
もちろん、コンセプチュアルアートとか、現代アートのさまざまな表現をしている人でも、デッサンとかそういう基礎技術は要るし、それがうまい人が大成するという考え方もあるが、それだけでは済まないのが人間の可能性の多様さということだと思う。日本の美大の入試はこのままでいいのだろうか?
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) January 27, 2020
簡潔にするために凄く冷たい言い方をしています。
— シミズ ヒサミ(Shimizu Hisami) (@TakerakaF) February 29, 2020
コンセプトがまったくない作品を創るのは、逆に現代のコンセプチュアルアートの一つの哲学的目標だと思うんですよね。
コンセプチュアルアートの作品において Idea(何らかの行為の想定)およびその実行を規定する Instruction(指示)はともに簡潔である。そして Execution(実行)は指示に従って「機械的」に行われる(つまり指示には機械的な作業によって実行可能であるような簡潔性が必要とされる)。
— okumura yūki (@oqoom) February 28, 2020
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
コンセプチュアルアートの源流と言われるのは、この「泉」。
男性用便器にサインをし、「泉」と名付けて展覧会に出品しましたが、前衛的過ぎて批判も多く、飾られなかった作品です。
デュシャンは、このことについて以下のように語っています。
マルセル・デュシャンはこちらのページでも紹介しています。