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Girl on the Boat

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作品解説

《Girl on the Boat》は1994年に制作された、木を素材とした立体作品です。彩色が施された木の舟に乗るのは、奈良美智作品を象徴するような、頭の大きな少女。舟に対してやや不釣り合いな身体つきで、首や足が細く、そのバランスの危うさがどこか不安定な印象を与えます。

少女は、前をまっすぐではなく、うつむくように見つめています。その視線の先にあるのは、海でも空でもなく、自らが乗る小舟の舳先。その佇まいには、孤独、葛藤、内に秘めた強さや鋭さといった、奈良作品に通底する感情が垣間見えるようです。少しだけ残るノミ跡や、わずかな裂け目は、手の痕跡であり、少女の心に刻まれた「何か」のようでもあります。

また本作には、奈良が大切にしてきた“DIY精神”が色濃く反映されています。使われている木材は、もともと捨てられていたもの。奈良は1980年代末から、身の回りの素材を使って、手の届く範囲で何かを生み出す姿勢を貫いてきました。パンク・ロックの影響を受けたその精神が、この小さな舟に乗る少女の姿にも重なります。

作品詳細

作家紹介:奈良美智について

1959年、青森県弘前市生まれ。国内外で高く評価されている現代美術作家です。にらみつけるような目の女の子をモチーフにしたドローイングや、アクリル絵具による絵画作品で広く知られています。不安や孤独、反抗心など、複雑な感情を静かに描き出す作風が特徴です。

1990年代以降はドイツでの制作活動を経て、世界各地の美術館やギャラリーで展覧会を開催。作品は日本のみならず、ロサンゼルスや香港、ドイツなどでも高く支持されています。

絵画にとどまらず、立体作品やドローイング、インスタレーション、レコードジャケットのデザインなど、その表現領域は多岐にわたります。音楽や文学からの影響も色濃く見られる点も、奈良美智作品の魅力のひとつです。

Girl on the Boatを見られる美術館

《Girl on the Boat》は、愛知県の豊田市美術館に所蔵されています。

1995年に開館した豊田市美術館は、19世紀後半から現代までの美術、デザイン、工芸の分野にわたる多彩なコレクションを持つ美術館で、国内外の名だたる作家たちの作品が収蔵・展示されています。

奈良美智の作品も複数所蔵されており、《Girl on the Boat》のほかに《Through the Break in the Rain》《Dream Time》などがコレクションに含まれています。作品ごとの展示状況は展覧会ごとに変わるため、訪問前に最新情報を確認するとよいでしょう。

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