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背景には、火のついた小屋、歪んだ地平線、そして小さな月が浮かんでいます。画面下部には英語で「Such a long way from home(故郷からこんなにも遠く離れて)」という文字がうっすらと記されています。
中央には、箱のような舟に乗り、片手に炎のついた棒を掲げる人物。どこか心もとない風景の中で、ひときわ静かに灯るその火は、これから進む道をかすかに照らしているかのようです。火を灯す棒は、まるで筆先のようにも見え、創作の始まりを思わせます。
《Dream Time》(1988年)は、奈良美智が愛知県立芸術大学を卒業し、ドイツへと旅立つ直前に描かれた作品です。この作品には、のちの奈良作品に繰り返し登場するモチーフ──箱、家、天体、灯り──がすでに描かれており、後年の表現の原点を見るようでもあります。
1959年、青森県弘前市生まれ。国内外で高く評価される現代美術作家。にらみつけるような目をした少女のドローイングや、アクリル絵具による絵画で広く知られています。作品には、不安や孤独、反抗心など、複雑な感情が静かに表現されています。
1987年に愛知県立芸術大学大学院を修了後、ドイツへ渡り、国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学びました。ケルンを拠点とした活動を経て、2000年に帰国。以降も、ヨーロッパ、アメリカ、日本、アジア各地で発表を続け、国際的な評価を確立しています。
絵画にとどまらず、木・紙・FRP・ブロンズなどを使った立体作品や、空間を用いたインスタレーション、さらにはCDジャケットや日用品のパッケージまで、表現は多岐にわたります。
《Dream Time》は、愛知県の豊田市美術館に所蔵されています。
豊田市美術館は1995年の開館以来、19世紀後半から現代に至る美術・デザイン・工芸の名品を多く収蔵し、作家との共同による展覧会や教育活動を展開してきました。国内外の近代・現代美術に強みを持ち、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレ、サルバドール・ダリから、戦後日本の現代美術、さらには現代デザインまで幅広くカバーしています。
奈良美智作品としては、《Girl on the Boat》《Through the Break in the Rain》も同館に収蔵されています。展示内容は定期的に入れ替えが行われているため、《Dream Time》が展示されているかどうかは、訪問前に公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。