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観音普陀落浄土

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作品解説

1972年に描かれた《観音普陀落浄土》は、白髪一雄が比叡山延暦寺で得度し、天台僧の資格を得た翌年に制作された一作です。白髪は、丹波や篠山で目にした石塔のサンスクリット文字をきっかけに密教に関心を寄せ、やがてその世界観を自身の創作へと取り込んでいきました。

本作は、そうした精神的な深化の中で生まれた「密教シリーズ」の代表作のひとつ。白髪自身が「抽象の仏画」と語るように、鮮烈な色彩やエネルギッシュな筆致が仏教的な主題と融合し、抽象表現の中に祈りや浄化のような精神性が滲み出ています。

赤を基調に青や白、黄などの原色が鋭角に交差し、画面全体が爆発するような力に満ちていますが、不思議とそこに騒がしさは感じられず、澄んだ空気のような透明感が漂います。絵具が飛び散る動きや重なる色のグラデーションは、静と動、混沌と秩序、そして荒々しさと清々しさを感じさせ、見る者の心を揺さぶるようです。

作品詳細

観音普陀落浄土を見られる美術館

《観音普陀落浄土》は、東京都中央区にあるアーティゾン美術館に所蔵されています。同館は「創造の体感」をコンセプトに掲げ、古代から現代に至る多彩な美術を紹介。JR東京駅から徒歩5分というアクセスの良さも魅力の1つです。

白髪一雄の作品は《観音普陀落浄土》のほかにも、《昏杜》や《白い扇》などが収蔵されています。展示替えのサイクルによっては他館へ貸し出される場合もあるため、鑑賞を予定される際はアーティゾン美術館の公式サイトで最新の展示情報を確認してから足を運ぶと安心です。

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