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ワンピース倶楽部・石鍋博子

石鍋博子
アートを「買う」楽しみ

1年に最低1作品(ワンピース)を購入することを条件を掲げたアートファンの集まり「ワンピース倶楽部」主宰。
敷居が高いと感じてしまう「アートの購入」ですが、小物感覚、インテリア感覚で日常にワクワクを取り入れることの楽しさを石鍋さんに語ってもらいました。

石鍋博子
インタビュー
石鍋博子プロフィール写真
石鍋博子さん
フジテレビに、ほぼ初の女性社員として入社し、番組制作、イベントのプロデュースを手がける。2007年7月に非営利団体「ワンピース倶楽部」設立し、アート界活性化を目指し、日々ギャラリー巡りや講演活動にと充実した毎日をおくる。(画像は富田直樹氏からプレゼントされたもの!)
アートを買うというと、どうしてもなじみのない人には敷居が高いイメージがあると思います。それはヨーロッパと日本のアートへの親しみの差だったりするのでしょうか?
石鍋さん
私の勝手な思いですが、ヨーロッパは冬はとても寒いので、どうしても家にいる時間が長くなりますよね。そんな中で少しでも家で楽しく過ごそうと思って、アートを家の中に飾るという文化が根付いていった。でも、日本は冬でも花がずっと咲いてるし、1年中通して四季が豊かなので、あえてアートを切り取って家の中に入れるっていう発想がそもそもなかった。
だから、たまに「日本はヨーロッパに比べて文化度が低い」と言う人もいますが、私はそういう考えではなく、風土の違いが習慣の違いに繋がっているだけだと思っています。
なるほど!
石鍋さん
そして、ギャラリーの敷居が高く感じるのは「買わないつもりで行っている」からなんです。見るだけのつもりで入ったお店って、なんだかいたたまれないような居心地の悪さを感じませんか?
石鍋博子さん自宅
そういえば…!なんとなくわかります…。
石鍋さん
「欲しいものがあったら買おう!」という意識になるだけで、自分の立ち振る舞いも変わるし、それによってお店の人も親身に説明してくれますよ。
アートって高いイメージがあったのですが、インテリアやアクセサリーの値段で買えるんですね。
石鍋さん
数百円から数億まで幅はおそろしく広いですからね。かつてはワンピース倶楽部に高校生も参加していたんですよ。
ちょっと買おうという気持ちになれば、世界は広がります。
石鍋さんスマホケース
このスマホケースも購入したものですか?
石鍋さん
threeという3人組の作品なのですが、彼らが最初に発表した作品を購入したのが縁で、その後も何度か買っていて。私が「スマホケースが欲しい」と言ったら、作ってくれたんです。
最初の作品は、買う方にとっても、作った方にとっても、特別なんですよね。だから、最初の作品を買うのが結構好きですね。
そういう関係性っていいですね。
石鍋さん
どんなに高いブランドバッグを買っても、店員さんの「ありがとう」だけで、デザイナーに言ってもらえるわけでもないし、それきりです。アートだったら、人間的な感情の交換もできるので、価値観は人それぞれですが、そういうところが現代アートの良さだと思っています。
完成度だけ見たら、工芸品や骨董のほうが優れていることが多いと思いますが、私が現代アートを好きなのは、物の後ろに、同時代に生きていて刺激を与えてくれるアーティストいるからなんですよね。
素敵ですね!石鍋さんおすすめの「買い方」はありますか?
石鍋さん
私は、作家さんに会って、話して買うのをおすすめします!
これを話すと「変わってるね」と言われることもあるのですが、性格が合わないなとか、なんかイヤだなって思う人の作品を家に置きたくないんです(笑)。
アートを家に置くのって、時間と空間を作家と共有しているわけですよね。だから、いいなと思う人の作品しか置きたくないので、話してみて、人柄を知ってから買うようにしています。
最近は顔合わさずに、ネットで買う人も増えていると思いますが、それについてはどう思いますか?
石鍋さん
私が東京というギャラリーにすぐ足を伸ばせる恵まれた環境にいるので、わざわざ選択はしないかなと思います。
ただ、ネットで買ったとしても、その人のことを調べてみたり、いずれ個展に行きたいなとか、そういう気持ちで買うと、また違った感覚になれると思います。
SNSを見て、あの人も頑張ってるなみたいな(笑)。
石鍋さんご自宅
そんな軽いというか、フランクな感じでいいんですね。
石鍋さん
いいです、全然いいです!アカデミックなコレクターは「アートシーンを勉強してから」とか言う人もいますけど、そういうことは大学の先生とかに任せればいいの(笑)。ミーハーな気持ちで買うので充分いいの!
若い作家の支援みたいな気持ちとかは…。
石鍋さん
ないない、ないない!そんなおこがましい(笑)。買ったことで、結果的に支援になっているかもしれないけど、支援するつもりで買ってることなんて一切ないです。
作家の皆さんは、この資本主義社会の中で、あえて平穏な人生を捨てて、自分のやりたいことをやってるわけじゃないですか。私ができないことをやってくれてるみたいな…そういうリスペクトが強いんです。
超初心者な質問ですが、私2020年には一作品、アートを買いたいと思っているのですが、ギャラリーに足を運ぶのがいいのでしょうか?
石鍋さん
やみくもにギャラリーに行っても、好みがあるので、インターネットで調べたりする準備は大事ですよ。現代アートを主に扱っているのか、日本画なのか、洋画なのか…。
意外と間違えちゃうのが、貸し画廊に行ってしまったり。
石鍋博子さん
貸し画廊はダメなんですね!
石鍋さん
ダメではないです。でも場所貸しなので、一期一会なところがあって。その画廊の人が、その作家さんのことをよく知らない場合もあるし、せっかく買うんだったらコンタクト取りたいじゃないですか。
ギャラリーは、芸能事務所のように作家さんのマネジメントをしているので、コンタクトが取れますから。
ギャラリーって星の数ほどあると思うのですが、どう選ぶのがいいでしょうか?
石鍋さん
アートフェアに行ってみると、ギャラリーが一堂に会しているので見やすいですね。もしくは、アートフェアに出ているギャラリーを調べて、気になるところに行ってみるとか。
アートフェアは、東京に限らず色んな場所でやっているので、おすすめですよ。
アートを買う敷居が下がった気がします。ありがとうございました。絶対今年1作品購入します!
石鍋博子さん自宅