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Joseph Beuys。フェルトの帽子とフィッシャーマンズベストがトレードマーク。旧西ドイツ出身の現代美術家です(1921年~1986年)。
現代アート界のスターでありながら、社会活動家として政治経済・思想・科学・芸術…と幅広い分野の講演や討論、執筆などを行ったことで知られます。「芸術概念の拡張」をさまざまな形で体現し、世界中に議論とセンセーションを巻き起こした、伝説的な芸術家です。
ドイツのクレーフェルト生まれ。自然を愛し、医学の道を志す子供でしたが、10代で彫刻家のヴィルヘルム・レームブルックから強い衝撃を受けたことがきっかけとなり芸術の道へ。
初めは彫刻を手掛けていましたが、現代アートグループ「フルクサス」との出会いにより、1962年以降は「アクション」と呼ばれるパフォーマンス作品を次々に発表。宗教・文化を題材にしたもの、動物とのコミュニケーションを図るもの、さらには討論会というかたちをとったもの、街の清掃活動など、形態にこだわらずさまざまな形で発表されました。その内容は、作品・パフォーマンス・社会活動の線引きが難しいのが特徴です。
そんなボイスの作品には、脂肪やフェルトを素材にしたものが多くあり、これについてはとあるエピソードが有名です。
第二次世界大戦の折、18歳だったボイスはドイツの空軍に配属され、乗っていた飛行機が迎撃により墜落。大きな傷を負ったところタタール人に救出され、「体に脂肪を塗りフェルトでくるむ」という体温維持のための処置によって一命をとりとめた、というものです。その真偽はわかりませんが、「脂肪」と「フェルト」が彼の芸術活動のキーワードであることは確かです。
ボイスはその芸術人生を通し、「自ら考え、決断し、行動することで社会参加せよ」とのメッセージを訴え続けました。語り継がれる彼のセンセーショナルなパフォーマンスや挑発的議論は、すべてその思想を体現するものだったといえます。そうした彼の精力的な姿勢こそが、今もアートの分野を超え多くの人々へ影響を与え続ける理由なのでしょう。
ドイツ(当時は西ドイツ)・デュッセルドルフのシュメラ画廊で開催されたもの。
「これは観客をガラス壁の向こうに追い出して、ギャラリーの中で死んだ野うさぎを腕に抱き、うさぎに絵画の説明をし、その後、野うさぎの身体を絵画に直接触れさせた。ボイスは頭を蜂蜜や金箔で覆い、右足には鉄の靴底を履き、左足にはフェルトの靴底を履いていた。パフォーマンスの3時間後に鑑賞者は部屋に入り、ボイスは入口のそばにあるイスに兎を抱きながら座った。」(引用:アートペディア https://www.artpedia.asia/2017/02/09/ヨーゼフ-ボイス/)という、シュールなもの。
2008年に東京都のNTTインターコミュニケーション・センターで開催された「ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚」展による解説は以下。
黄色く塗られた白熱電球にレモンをソケットによりつなぐことで,光エネルギーを理念的に提示したオブジェ作品.レモンの酸性成分が微弱な電流を発生させ,バッテリーとして電球に光が与えられる.電球の表面からは見えないものの,エネルギーとしての「光」がそこに発生していることを,観客は想像的に体験することになる(引用:ICC https://www.ntticc.or.jp/ja/feature/2008/Light_InSight/Works/capribattery_j.html)
わかるような、わからないような…?
本人の貴重な映像、関係者への取材を元に作られたドキュメンタリー映画。
予告編や本編レンタルはこちらで(下のTwitterでも見られます)
カーサブルータスではワタリウム美術館設立者・館長の和多利恵津子が本作について取材を受けており、「アート関係者も初めて目にする映像が多いのではと思います」と語っています。
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— アップリンク・クラウド (@uplinkcloud) February 15, 2020
ヨーゼフ・ボイスは
革命を叫ぶ🔊
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『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』アップリンク・クラウド(@uplinkcloud)にてオンライン上映中📰📰📰https://t.co/rENpM0unCN
ヨーゼフ・ボイスの芸術と知られざる”傷”を見つめるドキュメンタリー映画!
監督:アンドレス・ファイエル#配信中 pic.twitter.com/3n6nbiF63R
今は民主主義がない、だから俺は挑発する!
全ての人は芸術家である。
Jeder Mensch ist ein Kuenstler
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— 大川祐 (@yuokawa) February 15, 2020
「ヨーゼフ・ボイスは挑発する」 -芸術の社会性について- - 大川祐 ゲイジュツトシャカイhttps://t.co/m3IblWJB2A
1986年1月23日、美術家ヨーゼフ・ボイスが亡くなりました。彼の幅広い活動や「社会彫刻」という概念については、「欧米、日本、トランスナショナル」の副題を持つ、山本浩貴著『現代美術史』が取り上げています。 pic.twitter.com/n01F7eS4gw
— 中公新書 (@chukoshinsho) January 22, 2020
ヨーゼフ・ボイスはいつだって懐かしい。新装になったニューヨークMoMAの壁面にはボイスの写真と木製ハンガーに薄茶色のフェルトスーツが吊り下げられてあった。もう全身芸術家と言っていい。まだ我々はボイスを理解する、鑑賞する糸口さえ見出してはいないのではないか。今はただただ懐かしい。 pic.twitter.com/9NmhaflNbe
— 東京散歩人 (@wysvoice) November 5, 2019
政治的メッセージが強いアーティストなので、当時の東西ドイツの歴史などと一緒に追うと、ただ作品を見るだけよりも、理解が深まるかと思います。
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
ボイスのトレードマークともいえるフェルトを使用した、「フェルト彫刻」というジャンルを打ち立てた作品。