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ノートの切れ端や封筒、カレンダーの裏、保証書、メモ用紙――。
《Time of My Life 2001》は、そんな身近な紙の上に奈良美智が描いた92点のドローイングで構成されるインスタレーション作品です。
描かれているのは、大きな目の子どもやいたずらな犬、シンプルな線画、そして落書きのような言葉たち。整ったキャンバスではなく、日々の思考や感情をそのまま受け止めた紙たちは、むしろより直接的に見る者の心に迫ってきます。
この作品は、2001年に横浜美術館で開催された個展「I DON’T MIND IF YOU FORGET ME」で初めて展示されました。マスキングテープで壁に貼りつけられた92枚のドローイングは、まるで部屋そのものが作家の頭の中をのぞくような空間をつくり出しており、現在の「ドローイング小屋」にもつながる原型といえます。
表現手段にとらわれず、身近な紙と筆記具で思いのままに描く。
そこには、パンクのDIY精神を受け継ぐ奈良美智らしい、等身大の制作スタイルが息づいています。
1959年、青森県弘前市生まれ。国内外で高く評価される現代美術作家。にらみつけるような目をした少女のドローイングや、アクリル絵具による絵画で広く知られています。
1987年に愛知県立芸術大学大学院を修了後、ドイツへ留学。国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学び、ケルンでの生活を経て2000年に帰国。1990年代以降、ヨーロッパ、アメリカ、日本、アジア各地で発表を続け、国際的な評価を確立しました。
絵画だけでなく、木・FRP・ブロンズなどを用いた立体や、空間インスタレーション作品など、表現は多岐にわたります。音楽や文学からの影響も作品に色濃く表れています。
《Time of My Life 2001》は、高松市美術館に収蔵されています。
香川県高松市の中心街に位置するこの美術館は、1949年に地方の公立美術館として全国に先駆けて開館しました。2016年には大規模なリニューアルを経て、現代的な雰囲気と落ち着いた展示空間を併せ持つ施設へと生まれ変わっています。
収蔵コレクションの柱は「戦後日本の現代美術」「20世紀以降の世界の版画」「香川の工芸」。戦後美術の分野では、奈良美智のほか、岡本太郎、村上隆、森村泰昌といった重要作家の作品が並びます。
奈良作品では、《Time of My Life 2001》のほか、同時期に制作された《Milky Lake》(2001)や《地雷探知機》(1993)なども収蔵。コレクション展は年に数回、展示替えを行いながら開催されており、展示スケジュールは美術館公式サイトの「コレクション展」ページで確認できます。