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ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)は、かの有名なアンディ・ウォーホルと並ぶ、1960年代におけるポップ・アートの代名詞とも言えるアーティストです。
リキテンスタインは、アメリカンコミックをモチーフとした作風でよく知られており、当時の時代をそのまま映し出したかのような表現を追求している点も特徴のひとつ。例えば、セリフ入りの吹き出しを用いてアメリカンコミックを再現したり、当時の印刷で用いられていたドット印刷を模倣するなど、それまでのアート作品にはなかったような世界観を打ち出しています。
リキテンスタインが生まれたのは、1923年のこと。ニューヨークで生まれた彼は、1940年にオハイオ州立美術学校に入学。このころ、ピカソの「ゲルニカ」に感銘を受けたといわれています。その後戦争を経験したのち修士号を取得し、美術講師を務めていたという経歴を持っています。 リキテンスタインは、1951年に初めての個展を開催しています。ただし、当時は現在よく知られているようなアメリカンコミック風の作風ではありませんでした。創作初期は、抽象表現に傾倒した作風が見られ、ピカソやモンドリアンの影響が強いといわれています。
そして、初の個展を開催した7年後の1958年からアメリカの漫画やイラストをもとにしたポップアートの制作を開始。1963年には「Look Mickey」「Drowning Girl」を発表しており、コミックの要素を取り入れた点が大きな特徴といえるスタイルが広く評価されるようになりました。特に「Drowning Girl」はリキテンスタインの評価を高めた代表作と言えるでしょう。この作品は、自らの作品が機械的に制作されたように見せることに注目して制作されています。
その後は名画を平面的な手法で描いたり、ブラッシュストロークのような平面性と対極のものをまるで漫画のように平面的に描いたりするなど、さまざまなシリーズをに取り組んできました。1992年にはバルセロナ・オリンピックのモニュメント「バルセロナ・ヘッド」を発表していますが、この作品はリキテンスタイン初の立体作品となっています。1995年には、京都賞思想・芸術部門を受賞、1997年に肺炎による合併症により73歳で人生の幕を下ろしました。
1963年に描かれたポップアート。リキテンスタインの作風であるアメコミ風の作品となっており、非常に人気の高い作品。2005年にニューヨーク、クリスティーズで開かれたオークションでは、1626万ドル(約19億円)で落札されたことでも話題になりました。
Art doesn't transform. It just plain forms.(芸術は形を変えない。それは単純な形だ。)
I like to pretend that my art has nothing to do with me.(私は自分の芸術が自分と関係がないというふりをするのが好きだ)
東京都八王子市にある東京富士美術館で、行われている絵画展「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」(2021年2月13日(土)~5月23日(日))にてロイ・リキテンスタインが1952年に描いた「戦うネイティブ・アメリカン」を鑑賞することができます。 1983年に開館した東京富士美術館は、日本はもちろん各国・各時代の絵画や版画、写真、彫刻など幅広いジャンルの作品およそ30,000点を収蔵(2020年3月時点)しています。会期中はリキテンスタインの作品を鑑賞できる他にも多彩な美術に触れられる美術展となっています。
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
1963年からの2年間、ロイ・リキテンスタインはアメコミの普遍的なヒロイン像を自身の作品のテーマに取り込むということを行っていました。この「Girl with Hair Ribbon(ヘアリボンの少女)」も、そのころに描かれた作品となっています。この作品は、東京都現代美術館に所蔵されていますが、1995年に同美術館が6億円という高額で購入したことで話題になったことを覚えている方もいるのではないでしょうか(現在も東京都現代美術館に所蔵されています)。 制作に用いられたのは、油彩画とアクリル絵の具。漫画を機械印刷した際に現れるドットまで表現している点も印象的です。