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マリーナ・アブラモヴィッチ(1946年~現在)は、旧ユーゴスラビア出身のパフォーマンスアーティストです。自身の肉体を酷使した過激なパフォーマンスで知られており、40年以上にわたり活動を続けていることから「パフォーマンス・アートのグランドマザー」とも呼ばれています。
ベオグラードの美術アカデミーを卒業後、ノビサドの美術アカデミーで教鞭をとりながら、1970年初頭からアーティストとしての活動をスタートさせたアブラモヴィッチ。1973年におこなった初のパフォーマンス《Rhythm 10》は、20本のナイフと録音機を使い、ナイフ・ゲームに失敗して指を傷つけた時の音を録音したテープを聴き、同じ動作を繰り返すというものでした。その後も、挑戦的なパフォーマンス《Rhythm》シリーズを発表し、その過酷さゆえに意識を失うことも。
1976年より、当時のパートナーだったウライとのコラボレーションを始め、《時間の関係》(1977年)や《休息のエネルギー》(1980年)など、約10年におよび「関係性のある作品」を追求しました。1988年にウライとの関係を解消した後は、ソロでの活動を再開。1990年代には、アカデミー・デ・ボザール(パリ)や、ベルリン造形美術大学、ハンブルク造形美術大学などで教鞭をとっています。
日本では、2000年の越後妻有アートトリエンナーレの作品《夢の家》や、2004年に丸亀現代美術館・熊本現代美術館で開催された個展「The Star」によって、より多くの人に知られるようになりました。
1976年から約10年にわたって、恋人だったウライと「Relationworks」というパフォーマンスシリーズを発表していたアブラモヴィッチ。共同で発表する最後の作品となったのが、この《万里の長城を歩く》です。二人の関係を終わらせるために、万里の長城の両端からそれぞれ出発したアブラモヴィッチとウライが、90日間2,500kmを歩き、中間地点で出会い、さよならを告げるというものでした。過激で強い結びつきを感じさせるパフォーマンスをおこなっていた二人は、最後の別れ方までドラマチックですね。
築100年以上の古民家に泊まり、夢をみるためのアート体験ができる作品。2000年に開催された「第一回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」のために作られました。宿泊者は、赤・青・緑・紫の4色の寝室から1つを選び、同じ色のパジャマ「夢をみるためのスーツ」に着替えて、「夢を見るためのベッド」で一晩過ごします。そして翌朝、見た夢を「夢の本」に書き綴ることで、ゲストも作品に参加していくというもの。ここでしかできないアート体験に加えて、自分の見た夢が作品の一部となるのも面白いですね。
●住所:新潟県十日町市松之山湯本643
簡単な道を選んでいる限り、変わることはできない
40年以上にわたる長いキャリアの中で、常に革新的なパフォーマンスや実験的な試みを続けてきたマリーナ・アブラモヴィッチらしい力強い言葉です。
2019年、福岡県にある現代美術センターCCA北九州CCAギャラリーで、マリーナ・アブラモヴィッチ展が開催されました。1997年の創設当初から、アブラモヴィッチと共に複数のプロジェクトをおこなってきたCCA北九州。本展では、アブラモヴィッチが1998年にCCAで制作したインスタレーション作品《ハント》を展示しました。いつくかのビデオ映像とサウンドで構成されたこの作品は、「ある特別な身体的・精神的状況」に関するインスタレーションです。
ブラックボックス展もそうだけど、環境が変わるだけで人は支配的にも暴力的になれてしまうものなのかな。もしかしたら自分の中にもそういう暴力性があるのかもしれないと思うと、怖い。
— 畠山千春 | いとしまシェアハウス管理人 (@chiharuh) June 21, 2017
▼マリーナ・アブラモヴィッチ《リズム0》 https://t.co/gZN5vf7c6K
マリーナ・アブラモヴィッチ好きすぎて、ホムペないのかな?って調べてたら新潟な宿泊可能な『夢の家』が!ヒョー!!
— おばさん (@milk_fat_) December 14, 2020
一泊33000円、コロナあけたら娘連れて行こう…
大地の芸術祭も行ったことないな…https://t.co/NPAkfrYo3f
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
1973年から1974年に発表された《Rhythm》シリーズの中で、おそらく最も危険で挑戦的だったのが、この《Rhythm 0》のパフォーマンスです。オブジェクトとしてマネキンのように佇むアブラモヴィッチと、テーブルの上に置かれた72個の道具。そして、観客の望むままに、それらの道具を彼女の身体に使わせるという衝撃的な内容でした。徐々に自制心を失った観客たちの行動は大胆になっていき、彼女の服を切り裂き、体を切りつけ、血を飲み、ついには彼女に銃を突きつける観客まで現れる事態に!
このパフォーマンスによって、人間に隠された残酷で暴力的な暗部が露わになりました。意識を失うほど過激なパフォーマンスを何度もおこなっているアブラモヴィッチですが、この《Rhythm 0》での恐怖は、終了後に髪の一部が白髪になったほどだったそうです。