このサイトは 「本郷美術骨董館」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
2020年に制作された《Through the Break in the Rain》は、縦220センチ、横195センチという大きな画面に、少女の顔が大きく描かれた作品です。奈良美智の作品にたびたび登場する少女像のなかでも、特に目を引くのはその眼差し。キュッと結ばれた口元と、焦点の定まらないようでいて何かを射抜くような視線が、見る者の心をじわじわと揺さぶります。
タイトルの「Through the Break in the Rain」は、“雨の合間に”という意味を持ち、雨の止み間に射し込む光をイメージさせます。少女の髪には、赤や青、黄などの色とりどりの丸いモチーフが描かれており、それがまるで光の粒のように見えます。見る人によっては、涙や記憶、または希望の象徴にも感じられるかもしれません。
1959年、青森県弘前市生まれ。国内外で高く評価されている現代美術作家です。にらみつけるような目の女の子をモチーフにしたドローイングや、アクリル絵具による絵画作品で広く知られています。不安や孤独、反抗心など、複雑な感情を静かに描き出す作風が特徴です。
1987年に愛知県立芸術大学大学院を修了後、ドイツへ留学。国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学び、ケルンに在住したのち、2000年に帰国。1990年代以降、ヨーロッパ、アメリカ、日本、アジア各地で発表を続け、国際的な評価を確立しました。
絵画だけでなく、木・FRP・ブロンズなどを用いた立体や、個人の空間を再現したインスタレーション作品など、表現は多岐にわたります。音楽や文学からの影響も色濃く見られる点も、奈良美智作品の魅力のひとつです。
《Through the Break in the Rain》は、愛知県の豊田市美術館に所蔵されています。同館のコレクションのなかでも注目度の高い現代作品のひとつです。
豊田市美術館は、1995年に開館した美術館で、19世紀後半から現代に至る国内外の美術・工芸・デザインの名品を幅広く収集・展示しています。
現代美術にも力を入れており、奈良美智の作品は他に《Girl on the Boat》や《Dream Time》も所蔵されています。展覧会や展示替えのタイミングによって公開状況は変動するため、訪問前には公式サイトなどでの確認がおすすめです。