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世界で活躍するアーティストであり、一児の母でもある塩田千春氏。実娘の手をかたどった作品《手の中に》も発表しています。
ベルリン在住の塩田千春(1972年~現在)は、世界各地で数多くの展覧会に参加し、高く評価されている現代美術家です。「生と死」、「存在とは何か」といったテーマを追求し、大規模なインスタレーションをはじめ、立体や映像など、多様な手法で作品を制作しています。空間に糸を張り巡らせた圧巻のインスタレーションは、SNSで話題になったこともあり、「InstagramやTwitterで見て気になっていた!」という人も多いのではないでしょうか。
生まれは大阪府岸和田市。12歳の頃から「画家になる」と決めていたという塩田千春は、高校から美術系の学校へ進学しています。京都精華大学洋画科在学中には、オーストラリア国立大学キャンベラスクールオブアートへ留学も。その後、ブラウンシュバイク美術大学、ベルリン芸術大学で学び、ベルリンを拠点に活動するようになりました。
日本では、森美術館(2019年)、高知県立美術館(2013年)、丸亀猪熊源一郎現代美術館(2012年)、国立国際美術館(2008年)など、数多くの美術館やギャラリーで展示を開催。2008年には芸術選奨文部科学大臣新人賞、2020年には第61回毎日芸術賞を受賞しています。
また、2015年にベネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本館代表に選ばれたほか、シドニー・ビエンナーレ(2016年)、キエフ国際現代美術ビエンナーレ(2012年)、瀬戸内国際芸術祭(2010年)、横浜トリエンナーレ(2001年)など、国際展にも多数参加し、世界各地で活躍しています。
黒い糸で覆われた空間に、焼けたピアノと椅子が静かに佇んでいる作品。空間を覆いつくすほどの黒い糸が、観る人を不穏な気持ちにさせます。この作品は、塩田千春が子どもの頃、隣の家の火事を目撃し、翌日には焼けたピアノが外に出されていたという実体験の記憶から制作されたそうです。
焼けてしまって音の出ないピアノと、座る人のいない椅子は、沈黙や不在の象徴のようです。でも一方で、ピアノや椅子に宿る記憶に思いを馳せると、音では表せないものが確かに存在しているようにも感じて、心を揺さぶられるのではないでしょうか。
塩田千春が2004年頃から制作し始めた「窓」シリーズ。この作品には、旧東ベルリンで使われていた古い窓枠が約250枚も使われているそうです。
すべての窓にはそれぞれの歴史や生活感が残されていて、住んでいた人たちの膨大な記憶を垣間見るようで圧倒されます。無類の窓好き、窓フェチという人にもおすすめしたい作品です。
2019年に森美術館(東京・六本木)で開催された、塩田千春による過去最大規模の個展。塩田千春の代表的なシリーズである、赤や黒の毛糸を空間に張り巡らせた大規模インスタレーションをはじめとして、展示された作品数は113点!これまでの活動を網羅的に振り返る、塩田千春の集大成とも言える展覧会となりました。
また、作品の画像がSNSでシェアされたことで評判が広がったのも、この展覧会の特徴です。糸を紡いだダイナミックな空間が「インスタ映え」するとして、画像をシェアする人も続出しました。実際にSNSがきっかけで来場したという人も多く、入場者数は66万人以上にのぼりました。
塩田千春展@森美術館
— 梅吉(うめきち) (@umekichigk) October 12, 2019
圧巻の大型作品と映像作品で、作家の現在とこれまでを見る。行けてよかった。
再発した癌の治療に苦しみながら準備された個展は、生と死を強く意識する内容で、タイトルどおり「魂がふるえる」ような作品ばかりだった。 pic.twitter.com/BRJgw2Z7tC
上半期めちゃくちゃ楽しみにしていた塩田千春展:魂がふるえる。生と死、存在と不在という塩田さんのテーマは興味があるし、息苦しくなるくらい胸に迫ってくる塩田さんの作品にはいつもインスパイアをもらえる。 pic.twitter.com/01RNN3XdpL
— 山本貴愛 / Kie Yamamoto (@Kie_Yamamoto228) June 21, 2019
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
展示室一面に鮮やかな赤が広がる、大規模なインスタレーション。塩田千春といえば、この「糸」のシリーズを思い浮かべる人が多いのでは?というほど代表的な作品です。もつれ合い、絡まり合う赤い糸は、体内を巡る血液のようでもあり、人と人とのつながりを表しているようでもあります。
また、「舟」も、彼女がよく用いるモチーフの1つ。骨組みだけになった舟は、どこへ向かうのか分からない不安や、不確かさの象徴のように感じます。