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1965年に制作された白髪一雄の《丹赤》。大きな画面いっぱいに広がる鮮烈な赤のストロークは、一度目にすれば忘れられない強烈な印象を残します。
本作を描く際、白髪は足にスキー板のようなものを装着し、綱にぶらさがって描いたといいます。絵具の流れ、重なり、盛り上がり——そのすべてが、彼の全身を使ったアクションそのもの。筆では生み出せない速度感と躍動が、この作品の大きな魅力です。
また、作品名の「丹赤」が示すように、黄色を基調とした地に力強く置かれた赤のコントラストが印象的です。タイトル通りの“丹”の色彩がキャンバスを覆う姿は、生々しくも美しいエネルギーに満ちあふれ、白髪ならではの身体性を存分に感じさせてくれます。
この作品は、白髪自身が「代表作」と語るほどに重要なもの。1965年の第8回日本国際美術展では最優秀賞を受賞し、彼の名をさらに広く知らしめることになりました。
現在、『丹赤』は福岡市美術館に所蔵されています。同館には本作のほかに「煬帝」「嶽狼」「倶利迦羅」といった、白髪が手がけた迫力ある作品が収蔵されています。
なお、展覧会などで他館へ貸し出される可能性もあります。鑑賞を希望される方は、事前に美術館の公式サイトなどで展示状況を確認しておくのがおすすめです。