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白髪一雄の「男幽霊之図」と「女幽霊之図」は、1977年に制作された一対の油彩作品。比叡山延暦寺での得度(1971年)以降に展開された「密教シリーズ」の一環と位置づけられています。
この二作品は、怪談噺や艶噺を得意とした上方落語の名人・二代目露の五郎兵衛のために制作されたもの。キャンバスに足で地塗りを施した上に、板やヘラで描かれた抽象的な円相は、仏教的な要素を取り入れつつも、まるで幽霊がふわりと現れたかのような儚さと不気味さを感じさせます。
縦65.3cm×横45.6cmという比較的小さなサイズながら、生と死、情念と救済といった人間の根源的なテーマが強烈に刻み込まれた作品です。
《男幽霊之図》《女幽霊之図》は、西宮市大谷記念美術館に所蔵されています。
同館は、故・大谷竹次郎氏から寄贈された土地と美術作品をもとに、1972年に開館された美術館で、日本近代美術を中心に、阪神間ゆかりの作家やフランス近代絵画など、多様な作品を収集・展示しています。特に地元アーティストへの注目が高く、白髪一雄の作品もそのひとつとして大切に収蔵されています。
展覧会ごとにテーマを設けて多様な作品を紹介しているため、訪れる際は事前に展示スケジュールを確認するのがおすすめです。静謐な空間の中で、幽玄のイメージに包まれたこの二作品を体験すれば、白髪一雄のまた異なる一面に触れることができるでしょう。