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白髪一雄が1959年に制作した《天異星赤髪鬼》。一目見たら忘れられない、強烈なインパクトを持つ作品です。白髪自身が代表作のひとつと認めた作品でもあります。
まず圧倒されるのは、182.3×272.6cmというスケール感。そして、分厚く塗り重ねられた油絵具の質感。黒みを帯びた赤の絵具が、画面上で渦巻き、飛び散り、のたうつように盛り上がる——まるで生き物のような躍動感と凄まじいエネルギーが感じられます。血のような赤が黒の影を伴いながら、荒々しく広がる様は、おどろおどろしいほどにドラマティックです。
本作は、白髪の代表的な「水滸伝シリーズ」のひとつ。タイトルの「天異星赤髪鬼」は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する人物の名に由来します。シリーズの中でも初期の作品であり、後のダイナミックな表現へとつながる重要な一作といえるでしょう。
《天異星赤髪鬼》の持つ圧倒的なエネルギーは、写真や図録では再現しきれないもの。固まった絵具の凹凸、血しぶきのように飛び散るストローク、それらが生み出す生々しい躍動感は、実物を前にすることで初めて体感できるものです。
《天異星赤髪鬼》は、兵庫県立美術館に所蔵されています。同館では本作のほか、《色絵》や《作品I》など、白髪一雄の多様な作品を収蔵。彼の表現の変遷を追うことができます。
なお、兵庫県立美術館では所蔵作品を順次公開するコレクション展を年に3回開催しており、展示される作品はその都度異なります。また、他の展覧会に貸し出されている可能性もあるため、美術館の公式サイトや展覧会情報をチェックしてから訪れるのが良いでしょう。