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白髪一雄は、絵筆などを用いずに自身の素足を使ってダイナミックに描く、アクション・ペインティングで知られる画家です。これまでも身体を使った制作方法は存在していましたが、白髪の手(足)によって制作手段の1つに過ぎなかった身体運動が絵画表現の主役へと押し上げられました。
身体運動に革新的な役割を持たせた白髪一雄ですが、実は素足の代わりに長いヘラ(スキージ)を用いて制作された作品も存在します。その1つが白髪が1960年代頃から関心を深めていた密教の影響を受け、1973年に制作された「貫流」です。
長いヘラによる流動感は密教的な妖しさや濃密な精神性を表現していましたが、アクション・ペインティングに比べて動きに乏しい円の反復だったことから制作が停滞。その後の作品では再びアクション・ペインティングによる表現へと回帰していきます。
白髪一雄の「貫流」は、西新宿・初台にある東京オペラシティ アートギャラリーに所蔵されています。
東京オペラシティアートギャラリーでは年に4回企画展が開催されており、2020年には東京の美術館で初となる大規模個展「白髪一雄」を開催。貫流をはじめとする初期から晩年までの絵画を含め、ドローイングや映像資料など約100点が一堂に展示され、白髪一雄の画家活動を回顧する本格的な内容となっていました。