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Gerhard Richter。世界で最も注目を集める画家のひとり(1932年~現在)。若者からも人気を得ており、「ドイツ最高峰の画家」とも評されています。
生まれは東ドイツ・ドレスデン。1948年から舞台や看板のデザインなどを学び、1958年にはドレスデンの美術学校へ入学しました。
1959年、旧西ドイツで開催されていた「第2回ドクメンタ」で、ルーチョフォンタナやジャクソンポロックといった西側の現代美術に触れることに。そこで衝撃を受け、29歳のときに西ドイツへ移り住みます。
1962年には、新聞の掲載写真を用いた作品『机』を発表。雑誌や新聞の写真をキャンバスに大きく描き出すという、独自のスタイル(フォト・ペインティング)を生み出しました。「かつての画家は外へ出てデッサンした。我々は、シャッターを押すだけだ」という発言も有名です。
そして1970年代に入ると、より本格的な活動をスタート。連続テロ事件(ドイツの秋)を題材にした15点にも及ぶ連作『1977年10月18日』は大きな議論を呼ぶとともに、彼の芸術作品の中で中心的な位置を占めるものとなりました。
そんなゲルハルトリヒターは、一人の画家とは思えない多様なスタイル・表現に取り組んでいるのも特徴です。フォト・ペインティングだけでなく、色鮮やかな抽象画や、色見本のようなカラーチャートなども手掛けています。
しかし、どの作品にも「写真性」「光」という共通意識があり、絵画の本質を追求するかのようなその試みは、常に世界の美術界の注目の的となっています。
2012年にロンドンで行われた競売では、ミュージシャンのエリッククラプトンが所蔵していた抽象画『アプストラクテス・ビルト(809-4)』が、なんと約2,132万ポンドで落札。日本円で約26億9,000万円に相当する額です。当時、生存する画家の中で歴史上最高落札額を記録しました。
アブストラクト・ペインティング初期の作品。このシリーズの前には、灰色一色で表現する「グレイ・ペインティング」という手法で描いていたリヒターは一転、カラフルな世界へ飛び込みました。
アートシーン全体が、厚顔無恥の一大劇場だ。口にする値打ちもない。
自身の作品が高額で取引されるリヒターだからこそ、カッコイイと思える言葉かも。
世界初公開となる最新作「PATH」を冠にした展示会。(2019年4月20日〜6月1日・六本木で開催)
大型のガラス立体作品「8 Glass Panels」も展示されました。
2018年に、先ほど紹介した「PATH」を開催した「ワコウ・ワークス・オブ・アート」にて開催された展示会。
「ワコウ・ワークス・オブ・アート」は、日本でのリヒターのプライマリーギャラリー(作家とともに展覧会を企画し、直接作品を預かるギャラリー)なので、リヒター好きの方はぜひ足を運んでみてください。
ゲルハルト・リヒターのプライマリーギャラリー(作家と共に展覧会を企画、直接作品を預かる画廊)は日本(当画廊)と米国にあり、その米国の画廊で、メトロポリタン美術館の個展に合わせ新作展が始まりました。美術館で代表作を見た後は画廊で、とれたれほやほやの作品をぜひ。https://t.co/aJwlnzV7YM
— Wako Works of Art [展示替え中] (@WakoWorksofArt) March 3, 2020
2011年に制作されたドキュメンタリー映画。世界が注目するアーティストの日常とはどんなものなのでしょうか。
本作は、「絵を描くことは本来密やかな行為」と言うリヒターに3年以上も密着したというから驚き。
2020年1月31日にDVDが発売され、日本でもAmazonなどで日本語字幕版を購入することができます。
ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにした、2018年公開のドイツ映画です。
ナチス政権下のドイツ。叔母の影響で芸術に親しむ暮らしをしていた主人公クルト。しかし、その叔母は精神のバランスを崩し、ナチスの安楽死政策によって命を奪われてしまいます。終戦後、東ドイツで出会った女性との恋と残酷な運命、芸術家としての苦悩や葛藤の末、クルトが辿り着いた表現とは……
この物語を映画化するにあたり、リヒターは、登場人物の名前を変えることや、どこまでが事実で何が事実でないかは絶対に明かさないという条件を出したそうです。リヒターをモデルにした主人公クルトの半生を通して、ドイツの歴史の闇や、激動の時代に生きる芸術家を描き、観る人の想像力をかき立てる作品となっています。
ゲルハルト・リヒターが擱筆宣言との報が。驚いた。確かに魂削ってというより研究者の様に絵画と向き合っていた様に感じる作家だから、生きてるうちに決着をつけても良いのかもしれない。こんな最後もあるんだなって思う。これからの発言などに注視しておかなければ。
— shinbi/shibuya/油絵科 (@shibuya_shinbi2) January 19, 2021
ゲルハルト・リヒター、こういうのも作ってたんか。。。でも深刻なテーマを扱いつつも視覚的に表象しない、って絵画として意味があるんだろうか?いつもの抽象画にステルス文脈を足しただけって感じがする🙄 pic.twitter.com/FXV11PQMcP
— 山田はじめ Hajime Yamada (@1yamada) February 29, 2020
写真に対し、絵画で勝負を挑み、結果写真と絵画を融合させた第一人者です。独特の色彩センスにはまるファンが多い作家ですね。
現代アートから骨董・古美術までを扱う「本郷美術骨董館」代表。20歳から草間彌生の作品を集めているコレクターでもある。BSフジで放送中の、若手日本アーティストを紹介する番組「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」制作提供も行っている。お店では鑑定をするかたわら、テレビ・ラジオなどにも出演し、現代アート界を盛り上げている。
2012年に約26億で落札された作品。
アブストラクト・ペインティングは、40年以上にわたって描かれている、リヒターの代表シリーズ。描かれた年代によって、ダイナミックさも異なっていて、80歳を過ぎた今でも、道具に新たにキッチンナイフを取り入れて描くなど、挑戦を続けています。