このサイトは 「本郷美術骨董館」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
白髪一雄による《天慧星拚命三郎》は、1964年に制作された作品です。本作は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する豪傑たちの名前をタイトルに冠した「水滸伝豪傑シリーズ」の一作。赤や黒を主体とした色彩が画面を覆い、厚く盛られた絵具の層には、画面の上を身体が滑るように動いた痕跡が残されています。
白髪は、天井から吊るしたロープにつかまり、床に広げたキャンバスの上を素足で滑走しながら描く「フット・ペインティング」を確立しました。自らの身体を筆のように使い、絵具の流れや衝突を直接画面に刻み込むこの手法により、作品には強い運動性と物質感が現れます。《天慧星拚命三郎》においても、うねるような絵具の重なりが、作家の身体の動きを直接的に示しています。
白髪一雄(しらが かずお)は1924年、兵庫県生まれ。京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ後、戦後日本の前衛美術を代表する画家の一人として活動しました。
白髪の代表的な手法である「フット・ペインティング」は、天井から吊るしたロープにつかまり、足で絵具を広げる制作方法です。画面の上を滑るように動きながら描かれる作品は、絵画を単なる視覚表現に留めず、身体の運動そのものを記録しています。厚い絵具の層や激しい筆致には、作家の身体の動きと時間が直接的に反映されています。
《天慧星拚命三郎》は、東京・北の丸公園にある東京国立近代美術館(MOMAT)に所蔵されています。1952年に開館した日本初の国立美術館であり、皇居に隣接する北の丸公園内に位置しています。
同館の所蔵作品は、19世紀末から現在に至る日本の近現代美術を中心に、約14,000点に及びます。絵画、版画、彫刻、写真、映像など多岐にわたるジャンルを網羅しており、日本の近現代美術の歩みを概観できるコレクションが特徴です。
所蔵作品展「MOMATコレクション」では、これらの所蔵品の中から会期ごとに約200点が選出・展示されます。4階から2階にかけて12の展示室で構成されており、会期ごとに入れ替わる展示を通じて、時代ごとの表現の変化を見ることができます。