このサイトは 「本郷美術骨董館」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
草間彌生の《水上の蛍》は、鑑賞者自身が作品の中に足を踏み入れ、空間そのものを体験するインスタレーション作品です。
扉を開けて細い通路を進んだ先には、水面の上に設えられた空間が広がり、頭上には吊り下げられた電飾の光が点在しています。その光は、壁や天井の鏡面、そして足元で静かに揺れる水面に映り込み、現実の空間を超えてどこまでも続いていくかのように増殖していきます。光の反射と重なりによって生まれるその景色は、まるで無限に広がる宇宙や、夜の水辺に舞う蛍のような幻想的な光景を思わせます。
《水上の蛍》は、草間が長年にわたり探求してきた反復や増殖のイメージ、そして空間全体を作品とする発想が結実した作品。身体ごと包み込まれるような体験は、鑑賞者自身を作品の一部へと溶け込ませていきます。
草間彌生は1929年、長野県松本市に生まれました。幼少期から幻視や幻聴を体験し、そのイメージをもとに水玉や網目模様といった独自のモチーフを展開していきます。
1957年に渡米し、ニューヨークを拠点に活動。無限に広がる網を描いた絵画や、布製の突起物で覆われた立体作品、さらにはパフォーマンスなど、さまざまな表現を通じて前衛的な作品を発表しました。反復と増殖をテーマとしたその表現は、同時代の美術にも大きな影響を与えています。
1973年に帰国後も制作を続け、1993年にはヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で個展を開催。現在に至るまで、国際的に高い評価を受け続ける現代美術家のひとりです。
《水上の蛍》は、静岡県静岡市にある 静岡県立美術館 で鑑賞することができます。1986年に開館したこの美術館は、「開かれた美術館」を理念に掲げ、企画展や収蔵品展、講演会など多彩な活動を行っています。
コレクションは、東西の風景画や富士山をテーマとした作品、ロダンを中心とする近代彫刻、そして現代美術など、幅広い分野にわたります。草間彌生をはじめとする国内外の現代アーティストの作品も収蔵されており、時代を超えた多様な表現に触れることができます。