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「サヨン(莎詠)」は、2006年に奈良美智が制作した作品です。白い背景の中に、こちらをじっと見つめる少女が描かれており、細められた目と口元の表情からは、怒りや反発、悲しみなどさまざまな感情が伝わってきます。
奈良美智の少女たちは、一見すると不機嫌そうにも見えますが、単なる「怒った子ども」を描いているわけではありません。「サヨン(莎詠)」の少女も、傷つきながらも前を向こうとする強さを感じさせる存在です。その鋭い視線は、見る人自身の心に問いかけるような力を持ち、鑑賞するたびに異なる印象を与えてくれます。
背景を極力省いたシンプルな構図もこの作品の特徴。本作は縦146cm、横112.5cmの比較的大きな作品で、アクリル絵具によるフラットな表現が少女の存在感をより際立たせています。余計な背景を描かないことで視線は自然と少女の表情へ集まり、その静かな迫力が見る人の心に強く残ります。
奈良美智は、大きな頭と鋭い目つきの少女や犬をモチーフにした作品で知られる現代美術家です。
愛知県立芸術大学大学院を修了後、1988年から約12年間ドイツで制作活動を行いました。異国での孤独な生活や、自分自身と向き合い続けた経験は、その後の作品に大きな影響を与えています。作品に登場する少女は、自身の内面や感情を投影した「自画像」のような存在とも語られています。
帰国後は絵画だけでなく立体作品やインスタレーションにも活動の幅を広げ、クリエイティブユニット「graf」と協働した展示なども展開。時代や環境の変化とともに少女たちの表情も変化しており、それぞれの作品には制作当時の奈良美智の心境が映し出されています。
「サヨン(莎詠)」は、東京都現代美術館に収蔵されています。
東京都現代美術館は、約6,100点の収蔵作品を有する国内有数の現代美術館で、戦後から現代までの日本・海外の現代美術を幅広く紹介しています。コレクション展示「MOTコレクション」では、毎回テーマに合わせて約100〜200点の作品が展示されており、奈良美智をはじめとする国内外の著名作家の作品に触れられます。
展示作品は会期ごとに入れ替わるため、「サヨン(莎詠)」が展示されていない場合もあります。来館前には、東京都現代美術館の展示情報を確認しておくと安心です。