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地捷星 花項虎

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作品解説

白髪一雄による《地捷星 花項虎》は、1961年に制作された作品です。白髪は、少年時代から愛読していた中国の古典小説『水滸伝』にちなみ、108人の豪傑の名を1点ずつ冠した「水滸伝豪傑シリーズ」を手がけており、本作もその一作。縦長のキャンバスの中央から下部にかけて濃紺と黒が渦を巻くように重なり、その周囲を鮮やかな赤い絵具が大きく取り囲んでいます。画面全体には細かな飛沫が散り、色と色がぶつかり合うような勢いが感じられます。

白髪は、天井から吊るしたロープにつかまり、床に広げたキャンバスの上を素足で滑走しながら描く「フット・ペインティング」を確立した画家です。筆ではなく身体そのものを使って描くため、絵具は流れ、飛び散り、ときには厚く盛り上がります。《地捷星 花項虎》でも、うねるように重なる絵具の動きや厚みのある層から、制作時の身体の動きが画面に刻まれていることがわかります。

タイトルの「地捷星」は、水滸伝に登場する豪傑・龔旺(きょうおう)の宿星を指します。「花項虎」は龔旺のあだ名で、首に虎の頭、全身に虎のまだら模様の刺青を施していたことに由来します。

作品詳細

作家紹介:白髪一雄について

白髪一雄(しらが かずお)は1924年、兵庫県尼崎市に生まれた画家です。京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ後、戦後は洋画に転向し、独自の身体表現を追求しました。1955年には、吉原治良が率いる前衛グループ「具体美術協会」に参加。「人の真似をするな」という具体の理念のもと、天井から吊るしたロープにつかまり、素足で絵具を押し広げる「フット・ペインティング」を確立していきます。

1950年代後半には、フランスの美術批評家ミッシェル・タピエらによって具体美術協会が欧米に紹介され、白髪の作品も国際的に知られるようになりました。《地捷星 花項虎》は、そうした時期の1961年に制作された「水滸伝豪傑シリーズ」の一作です。フット・ペインティングによって生まれた、色彩の重なりと身体の動きを感じられる作品です。

地捷星 花項虎を見られる美術館

《地捷星 花項虎》は、大阪市北区中之島にある国立国際美術館に所蔵されています。1977年に大阪府吹田市の万博記念公園で開館し、2004年に中之島の現在地へ移転しました。建築家シーザー・ペリが設計を手がけ、展示室や収蔵庫など主要部分が地下に収められている点が特徴です。

コレクションは、第二次世界大戦後の国内外の現代美術を中心に、およそ8,000点を収蔵しています。なかでも「具体美術協会」の作品を数多く所蔵しており、本作は1978年(昭和53年度)に大阪の実業家・大橋嘉一氏から寄贈された「大橋コレクション」の一部として同館に収められました。大橋コレクションには具体美術協会の作品が数多く含まれており、国立国際美術館の具体コレクションの中核をなしています。

所蔵作品はコレクション展にて、会期ごとに入れ替えて公開されます。《地捷星 花項虎》が展示されているかは時期によって異なるため、作品を目当てに訪れる場合は、事前に公式サイトで展示情報を確認しておきましょう。

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